事前によくあるミスについて把握しておこう

看護師の勤務中のミスとして、最も多いのは患者さんの名前の間違いです。似通った名前の患者さんがたまたま重なると、取り違えることがあるのです。名前を間違えて誤った処置を施したら、医療過誤になってしまいます。遥や薫など男性と女性の両方に見られる名前の場合、男性なのに女性の患者さんだと看護師が思いこんで取り違えるというミスがありました。そこで、患者さんに医療行為を行う際には、毎回フルネームを確認することが必要です。患者さんから自分の名前を名乗るよう求める医療機関も増えています。

患者本人がチェックできれば、名前の間違いを避けられるでしょう。検査の段階で患者さんを間違えたとしても、患者さんの身体に重大な悪影響を及ぼすことはほとんどありません。しかし、全身麻酔の手術の際に患者さんの身体に付ける名前のタグを間違えると、患者さんに名前を確認できないため深刻な事態を引き起こします。実際に、腎臓疾患の患者さんと誤認し、健康な腎臓を摘出してしまったという事例もありました。また、投薬ミスもたまにあり、中でも病棟看護師が入院患者に薬を渡し忘れる事例が目立ちます。点滴液の種類を間違えることもあり、典型的な事例としては、牛乳を点滴してしまった看護師もいたのです。

カルテの誤記入も度々見られます。看護師1人が患者1人を担当するプライマリーナーシングでは、看護師相互のチェックが難しく、なかなかミスを見つけられませんでした。しかし、主流となりつつあるチームナーシングでは、複数の看護師が1人の患者さんを看るので情報共有が円滑に行われるようになり、カルテのチェックも厳しくなりミスが減っています。