産婦人科勤務の看護師が責任を感じやすい「流産」

産婦人科に勤務する看護師は生命が誕生する瞬間に立ち会える一方で、妊婦さんの流産を目の当たりにするという一面もあります。産婦人科で働いていると、流産の件数が意外と多いことを認識するでしょう。ある総合病院が調査を実施したところ、妊娠した女性のうちの約15パーセントが流産に至ったというデータが出ました。おめでたです、と言われた妊婦さんの約7人に1人が流産を経験することになっているのです。

ここで流産の定義を確認しておきましょう。医学的には22週を経過する前に妊娠が終わる状態を指します。なかでも12週未満の流産は頻繁にあり、流産件数全体の約8割も占めているのです。12週未満の流産に関しては、医師や看護師がミスをしたというよりも、受精卵がもともと育たない性質だったと捉えるようにしてください。健康診断では何の問題もない女性でも、受精卵にトラブルが起こることがあるのです。

妊婦さんに対して、軽い運動を禁止しなかった、体を温めるためのアドバイスをしなかった、など何かと責任を感じる看護師もいますが、これらの習慣と12週未満の流産にはほとんど因果関係はありません。受精前の精子や卵子の段階で染色体に異常があった事例もあるのです。そのため、初期の流産に立ち会った看護師は自身のミスを疑うよりも、まずは患者さんの心のケアに努めるようにしてください。もともと受精卵が胎児にならない運命だったことをわかりやすく説明すれば、ほとんどの患者さんは気持ちを落ち着かせてくれるでしょう。心のケアを奥さんだけにすると夫婦関係がぎくしゃくするケースもあるので、可能であれば旦那さんにも同席してもらったうえで説明をすることが推奨されます。